競馬用語辞典【さ行】
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■さ
▽再騎乗(さいきじょう)
 “落馬再騎乗”とも言い、レース中に落馬して競走を中断した騎手が、再度馬に乗って競走を続行すること。この場合騎手は馬とともに落馬した地点に戻ってレースに参加しなければならない。
▽裁決委員(さいけついいん)
 着順の確定、異議の申し立てに対する裁決、出走馬及び騎手に対する保安措置と裁決、競馬の公正を害する行為の取り締まりなど競馬が施行される上で重要かつ絶対に必要な仕事を担当している。
▽再審査(さいしんさ)
 裁決委員によって課せられる馬に対する制裁で、レース中に斜行したり逸走した馬には走路調教再審査、ゲート入りの悪い馬、ゲート内での駐立不良、発馬の特に悪い馬に対しては発走調教再審査が行われる。この再審査にパスしないと次のレースに出走できない。
▽サイドレーン
 頭の高い馬を矯正するための馬具。単純な革ひもで、ハミ環と腹帯をつなぐようにして使う。ハミ環の左右から両側に1本ずつ装着し運動させる。悍性の強い馬で頭を無理に上げようとする馬には中間にゴムなどを使って伸縮性を持たせ、刺激を与えないようにしている。
▽下がり馬(さがりうま)
 昇り(あがり)馬に対して逆の意味に使われる言葉で、成績が徐々に落ちてきている馬。また、ピークが過ぎはっきり下降線を辿っていると思われる馬のこと。過去の実績にとらわれて、下がり馬を追いかけぬようにしたいものだ。
▽下げる(さげる)
 レース中騎手の判断で、意識的に馬順を下げること。他馬に寄られたり、挟まれたりしてやむを得ず下げることもあるが、末脚を生かす馬にとっては速いペースについて行っては持ち味を生かせないので、後方に下げてチャンスを待つこともしばしば見受ける。
▽笹針治療(ささばりちりょう)
 単に笹針と言うことも多い。ハリ治療の中でも最もポピュラーなもので、「三稜針」という針を用いるが、この針の形が笹の葉に似ていることから“笹針”と名づけられている。急性の筋肉疲労(コズミ)でうっ血している部分に施し、刺激によって新陳代謝をうながす。つまり肩や腰に乱刺して放血させ疲労を取り除くことである。使い込まれた馬が休養する前に笹針を打つことが多く、休養期間は最低でも1カ月ぐらい必要といわれている。また、実戦に復帰するときには「ハリ明け」と呼ばれる。
▽ささる
 調教またはレース中に馬が内へ斜行することを言う。脚いろがいっぱいとなって苦しくてささる場合と、馬自身の気性や癖でささる場合があり、後者の場合は左回りでささる馬は右回りになると“よれる”(外に斜行する)ことが多い。同じ斜行でも異なった意味で“もたれる”という言葉も使われるが、この三つの言葉にはっきりした区別がなくなってきている。
▽差し脚(さしあし)
 馬の脚質のひとつで、先行馬群を射程圏に入れて進み、直線の勝負で速い脚を使い前にいる馬を交わす。目標にした馬をキッチリ捉えたとき差し切ると言い、及ばなかったとき差し届かなかったという。また、一旦先頭に立った馬が後方から来た馬に並ばれ、あるいは交わされてから再び巻き返して先着したとき差し返すという。この差し脚を武器に戦うタイプの馬を“差し馬”といっている。
▽差し合う(さしあう)
 一人の騎手の乗る馬が同じレースに2頭以上予定される場合に差し合うと言う。「今回乗り役さんが差し合うので1週のばして来週に……」というように使う。人気騎手は特別レースや重賞レースで差し合うことも多い。
▽挫石(ざせき)
 蹄底に起きる炎症(内出血)のことで、走っているときに後肢の蹄の先端を前肢の蹄底にぶつけたり、あるいは石などの硬いものを踏んだときに発症する。蹄底の浅い馬、時として踏み込みの良い馬にも起こりやすい。前肢に多く発症し、蹄に熱をもちひどい跛行になる。
▽殺処分(さつしょぶん)
 安楽死と言われているもので、競走馬が病気で倒れたり、脚を折って再起不能と診断されたときに殺処分することがある。競馬場でレース中に倒れた馬が出た場合、幕を張ってスタンドから見えないようにしているが、筋肉弛緩剤を注射して馬運車に収容するためであって、その場で殺処分することはほとんどない。
▽サラブレッド
 馬の品種のひとつで、単に「サラ」と言うことも多い。現在JRAではこのサラブレッドだけで競馬が行われている。イギリスで長い年月をかけて競走馬として作られてきたもので、サラブレッドには「純血」という意味がある。一般用語としても家柄が良いとか育ちが良いという意味合いで“サラブレッド”という言葉は使われている。
▽三冠馬(さんかんば)
 3歳五大クラシックのうち皐月賞、ダービー(東京優駿)、菊花賞を制覇した馬を三冠馬という。これはイギリスの競馬にならったもので、英国では2000ギニー、ダービー、セントレジャーの優勝馬を三冠馬と言っている。またアメリカではケンタッキーダービー、プリークネスS、ベルモントSの優勝馬を三冠馬という。日本の場合は菊花賞が秋に行われるため、異なった距離の三つのレースを勝つことは大変難しく、昭和16年セントライト、昭和39年シンザン、昭和58年ミスターシービー、昭和59年シンボリルドルフ、平成6年ナリタブライアンの5頭だけがその栄誉に輝いている。シンザンが古馬の大レース天皇賞、有馬記念にも優勝し五冠馬と言われたが、シンボリルドルフも五冠馬になっている。これに模して牝馬の三冠というのもあるが、桜花賞、オークス、秋華賞(平成7年以前はエリザベス女王杯)を制覇した馬で、昭和61年のメジロラモーヌ、平成15年のスティルインラブの2頭だけである。
▽産駒(さんく)
 「〇〇の産駒」という使い方をされ、〇〇は父馬、母馬を指す。一般的には父馬である種牡馬の馬名、たとえば“サンデーサイレンス産駒”という言い方をするが、母馬がクラシック馬であったり有名な馬の場合は母馬の名を前につけて言うこともある。
▽三大始祖(さんだいしそ)
 現在世界中のサラブレッドについて、その牡系子孫が残っているのはダーレー・アラビアン、ゴドルフィン・アラビアン、バイアリー・タークを祖とする三つの牡系統となる。このことを「三大始祖」または「三大根幹種牡馬」と言っている。この3頭のうち現在サラブレッドの90%以上がダーレー・アラビアン系で、圧倒的優位を保っている。
▽三分三厘(さんぶさんりん)
 ゴールまで660メートル地点のこと。一分は8分の1哩で200メートルのことから計算されるわけだが、一般には3角過ぎの勝負どころという意味で使われる。騎手の話の中などでは「3分3厘から行って」とか、「3分3厘で手応えが…」など仕掛けどころという意味で使うことが多い。
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■し
▽仕上がり(しあがり)
 競走馬としての馬体のデキ具合を表す言葉。ムダ肉がなく競馬に行って能力の出せる馬体になったとき「仕上がった」という。「仕上がりひと息」と言えば完調一歩手前ということだし、「仕上がり途上」と言えばまだ仕上がっていないという意味に使われている。
▽ジェイ・アール・エー(JRA)
 日本中央競馬会の略称で、昭和62年4月に制定されている。ジャパン・レーシング・アソシエイションの頭文字をとったものである。
▽JRA育成馬
 日本中央競馬会が各生産地で開催される軽種馬の市場(せり市)で購入し、育成場で一定期間に育成、訓練された馬を、希望する登録馬主にトレーニングセール形式、またはセリ方式で売却、配布する馬のこと。平成16年までは抽せんのうえ、一定の価格で売却、配布されていた。サラブレッド系のJRA育成馬にはマル市の印がつけられている。はじめは競走馬資源の確保が目的だったが、現在ではせり市場の振興のために行われているようだ。そのためJRA育成馬は市場取り引きされた馬とともに競走番組面でも優遇されている。安い馬の代名詞のように軽く扱う人もいるが、阪神ジュベナイルフィリーズ勝ちのタムロチェリーやステイヤーズSを2度制したホットシークレット、ユニコーンS勝ちのトップオブワールドなど優秀な馬も数多く輩出している。
▽仕掛ける(しかける)
 騎手が馬にスパートさせること。ひとつのレースの流れの中から加速(ペースアップ)させることだが、騎手は気合いを入れるため手綱をしごいたり、ステッキを入れたり補助動作を加えてスピードアップを捉す。「3コーナーで仕掛ける」「仕掛けが早かった」などレース後のインタビューなどでさかんに使われるが、勝敗に直接関係する言葉だからだ。また「仕掛け気味に追う」ということもあるが、この場合は気合いをつけながらという意味で使われている。
▽軸馬(じくうま)
 連勝式(連勝複式)で中心(軸)になる馬のこと。同じ本命馬でも勝てなくても2着は外さないタイプ、取りこぼしはあっても堅実なので大きく崩れることはなく連勝には絡んできそうな馬のこと。成績は安定しているが決め手不足という馬が“軸馬”といわれるレースもしばしば見かける。
▽自在(じざい)
 競馬用語として使われる場合は脚質のひとつの“自在脚質”のこと。「自在型」あるいは「自在性がある」という使い方をされるが、先行もできるし差したり追い込んだりも出来るということで、ペースが速ければ抑えていけるし、逆に遅ければ前に行って戦えるという近代競馬向きの脚質。“器用な馬”とか“脚質に幅がある”というのも同じことで、どんな流れにも対応できるタイプで安定感がある脚質。
▽市場取引(しじょうとりひき)
 一般には「せり取引」と言われるもので公開のせり市場で売買されるため、その価格が他人にはっきり分かるようになっている。この市場取引で購買された馬は馬名の前にマル市の記号がつけられている。
▽下見所(したみしょ)
 パドック、または曳き馬場といわれるところで、発走の約30分前に装鞍所から入場、厩務員に曳かれて場内をぐるぐる回る。掲示板には出走馬名、騎手、斤量、馬体重などが発表され、同時に各種勝ち馬投票券のオッズが表示されている。ファンはここで各馬の状態を観察、馬の仕上がり具合や気合いの乗り方など確かめる。発走の15分前くらいになると騎手が騎乗しここから馬場に出ていく。
▽失格(しっかく)
 着順を取り消されることで、その理由としては
(1)競走能力に及ぼす薬品、薬剤の使用。
(2)正当な理由なく馬の全能力を発揮させない時。
(3)不正の目的をもって前検量で計量した負担重量を負担せず騎乗した時。
(4)他馬の進路を妨害して落馬中止させた時。
(5)他馬の競走を妨害した時。
(6)落馬、逸走した時その地点に戻らず競走した時。
(7)3000メートルで5分、3000メートルを超える競走で7分以上かかった時。
(8)後検量を受けなかった時。
(9)馬が不正な協定の実行に供せられた時。
(10)後検量で前検量との差が1キロを超えた時などである。
着順が確定する前に失格と決まればその馬に関する馬券は無効になるし、馬主は賞金をもらえない。またレース後でも禁止薬物の使用などで失格となった場合賞金などは没収される。しかし、一旦着順が確定しており馬券は有効。
▽終い(しまい)
 レースの最後という意味で、「終いが甘くなった」とか「終いでいい脚が使えた」などと使われ、レース後の騎手の話によく出てくるように、直線あるいはゴール前を指す。「終い(の脚)を生かす」という使い方もするが、この場合は馬の力をタメて最後の直線で能力を出すということ。
▽斜眼革(しゃがんかく)
 ブリンカーといわれるもので、以前は遮眼帯といわれていたもの。競走中に他馬に気を遣ったり、物見(ものみ)をして走る癖のある馬に、レース中気を散らさず集中させるように、前方だけしか見えないように作られた革製の装具。遮眼革にも遮眼角度の違いから形の異なるもの、覆面に付けられたものなどいろいろあり多種多様である。気性の激しい馬(悪い馬)などには、初めて使用したとき特に効果が出ることもあり注意したい。
▽斜行(しゃこう)
 競走中に馬が斜めに走ること。他馬の進路を妨害したり、事故の原因となることも多く、騎手がレース中に注意義務を怠ったものとされ、軽度の場合は戒告、非常に重大なものは騎乗停止まで、その度合によってではあるが、何らかの制裁の対象になることが多い。また、障害競走において飛越の際に斜めに飛ぶことを斜飛(しゃひ)という。
▽シャドーロール
 鼻の上に着けたり、巻いたりしている羊の毛などで作られた太いモール状の装具。競走馬は自分の前脚の動き、物の影や芝の切れ目などに驚いて跳んだり、立ち止まったりすることがあり、それを防ぐため(下が見えないようにする)の装具。
▽馴致(じゅんち)
 一般的にも段々に馴らすことを馴致というが、競走馬の場合でも同じである。広い意味で言えば、生を受けた馬を競走馬に仕上げていく過程は全て馴致ということになる。初期の段階の馬装馴致(鞍を置いたりハミを着けたりする)に始まり騎乗馴致(人を乗せ騎乗者の意志に沿うようにする)、調教馴致(発走を含め競走馬としての仕上げ)と進んでいく。
▽15−15
 1ハロン(200メートル)を15秒平均のスピードで走る、または走らせること。14−14、13−13も同じで調教でのペースを表す言葉。普通のキャンターと言われるのが1ハロン20秒ぐらいなので、少し強めというと17〜18で駆けることをいう。15−15というと馬を仕上げる上でのひとつの目安で、デビュー前の馬や休み明けの馬はこの15−15ができると最終段階の強い調教へと進んで行く。また、使い込んでいる馬の場合は「レース間隔が詰まってるから15−15で十分だ」などと、タイムとは関係なく軽い攻め馬という意味で使っている場合も多い。
重賞(じゅうしょう)競走
 特別競走の中でもとくに賞金が高く、重要な意義をもって設けられた競走で、五大クラシックレース、天皇賞、有馬記念をはじめグレード競走と言われるレースは全て重賞競走である。特別競走の中で第〇回と付されているのが重賞競走で、オープン馬で争われる。
▽収得賞金(しゅうとくしょうきん)
 競走条件の〇〇万円とは収得賞金のことで、基本的には1着の本賞金および重賞競走の2着賞金の合計額をいう。算入金額は特別競走の場合は1500万円以上は半額、1200〜1500万円未満は600万円、400万円〜1200万円未満は400万円となっており、一般競走では1200万円以上は半額、1000万円〜1200万円未満は600万円、400万円〜1000万円未満は400万円となっており、獲得賞金とは異なる。
▽18.75
 一般に“奇跡の血量”といわれるもので、父母を一代目とした場合、三代目と四代目に同じ祖先(種牡馬)があると、その血量を18.75%もつ馬ができる。生産理論のひとつで“フィッツラックの18.75%理論”といわれるもの。きわめて単純な交配方法で、現在では理論としては問題にされていないが、近親交配の一例で走る馬も数多く出ている。日本ではコダマ(昭和35年ダービー馬)がブランドフォードの18.75%ということで騒がれはじめ、意識的に交配する生産者が増えた時期もあった。
▽習癖(しゅうへき)
 運動時や馬房内で馬の行ういろいろな癖の総称。調教や飼料の管理、馬とのコミニュケーションなどによって矯正していく必要があるが、競走中の癖については騎手がその馬の癖を熟知して騎乗しないと事故の原因になったりする。
蹴癖(しゅうへき)
 人や他馬を蹴る癖のこと。蹴癖馬は周りの馬や人に危険を及ぼすので、トレセンや牧場では危険防止のため、目印として尾の根本に赤い布を着け誰にでも分かるようにしている。
▽出走停止(しゅっそうていし)
 競走の公正を保つため
(1)競走において他馬に危害を及ぼすおそれのあるとき。
(2)調教が十分でないとき。(発馬なども含む)
(3)健康に支障のあるとき。
(4)一時的に能力を高めまたは減少したと思われる薬品、薬剤を使用したとき。
(5)競走に関して不正な協定の実行、不正な目的に供せられるおそれのあるとき。
などは、期間を定めてその馬の出走を停止する。
▽出走取消(しゅっそうとりけし)
 出馬投票後、出走予定馬が急な疾病、事故などの理由により、裁決委員の許可を受けて出走を取りやめること。競馬場、ウインズなど勝ち馬投票券売場には必ず発表されているので、取り消し馬のあるなしは確認しておきたいものだ。
▽種牡馬(しゅぼば)
 “種馬(たねうま)”ともいわれるが父馬のこと。より速く、より強い馬を作り出すためにサラブレッドの生産において種牡馬の選定はとくに大切であり、競走成績の優れた馬、血統の良い馬のみが選ばれて種牡馬となっている。
▽準(じゅん)オープン
 競走馬は競走番組上条件別に分類されているが、オープンに次ぐクラスで、いわゆる高額条件に位置する馬。そのクラスを勝つとオープンになる馬自体を指すこともあるし、そのクラスのことを準オープンと言うこともある。
▽昇級戦(しょうきゅうせん)
 勝つことによってクラスの上がることを昇級するという。その昇級してはじめてのレースを昇級戦(昇級緒戦)といっている。「昇級戦にしては走っている」とか、「昇級戦でペースが…」などレース後の騎手の話によく出てくる。“格上げ緒戦”というのも全く同じ。
▽勝負服(しょうぶふく)
 騎手がレースに騎乗するときに着ている服。中央競馬の場合は馬主がそれぞれ自分の色、柄の服色を登録しており、騎手は馬主に合わせて着替えてレースに出場している。公営競馬では各騎手が自分の勝負服(各自の色柄)を持っており、レースを見慣れると誰が乗っているかすぐ分かるようになる。
▽条件(じょうけん)レース
 中央競馬は収得賞金によってクラス分けされ、条件が定められている。どのレースも広い意味での条件レースに違いないが、オープンや新馬戦、重賞レースなどは条件レースとはいわない。3歳〇〇万円以下など収得賞金によって条件が付けられているレースをいう。また条件戦でも特別レースは一般レースと分けて考えられ、条件レースと呼ばないこともある。
▽じり脚(あし)
 脚質のひとつ。決め手がなく速い脚が使えないタイプで、じりじりとしか差を詰められないというのが語源。こういった脚質の馬は平均ペースになると粘りを発揮するが、瞬発力がないため勝てそうでいて勝てなく、2、3着になることが多いので、単勝では狙いにくいタイプといえよう。
▽白毛(しろげ)
 馬の毛色のひとつで、白色またはほとんど白色で生まれるが、うなじや耳などに色素があることもあり、有色毛の刺し毛斑や有色斑があることもある。また、眼が青色であることも多い。この毛色の発現はサラブレッドでは十分解明されていない。
▽白旗(しろはた)
 スタート時、ゲートから200メートルくらいの走路内に立っている人が持っている旗。発走委員が真正な発走でないと認めて振る赤旗を見て、この白旗が左右に振られる。騎手はこの合図を見て馬を止め、スタートのやり直しとなる。
▽シンジケート
 一般には共同販売を行うための企業連合をいうが、競馬の世界では主に種牡馬について組織される株主のことで、1頭の種牡馬を数十株に分けて、その保有株数に応じて種付けの権利を持つことになる。通常組まれる株数は40〜60株で、1株につき1頭の種付け権利を持つ。
▽新馬戦(しんばせん)
 サラブレッドのデビュー戦のこと。夏の2歳戦から始まり3歳春の3月頃まで競走番組に組まれている。新馬戦はその馬の能力だけでなく競走センスも分かるため競走馬にとって重要なレースであり、馬主、生産者など関係者は新馬勝ちをことのほか喜ぶ。
▽心房細動(しんぼうさいどう)
 心臓発作のひとつで、競走中に発症する場合が多い。急激にスピードダウンして、骨折でも起こしたのではと見てる人に思わせる。健康な馬でも突然発症する病気で、原因も明らかでないしその治療法も特にない。そのまま競走馬を断念するような場合もあるが、ほとんどは一過性のもので、自然に治ってしまい再発もしないことが多いようだ。
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■す
▽末脚(すえあし)
 最後の直線での脚勢のこと。ゴール前の伸び脚の良い場合「末脚が切れる」というし、逆にゴール前にきて踏ん張りの利かない場合を「末脚が甘い」などという。競走馬にとってこの末脚の良し悪しは強さ、資質を表すものである。
▽スクみ
 筋肉が硬直することで「肩にスクみがみられる」などと使われる。疲労の蓄積や、急激な運動などに起因することが多く、休養や運動(調教を含む)の軽減によって回復する。
▽スクーリング
 一般用語では面接授業(通信教育の学生に行う)をいうが競馬用語としては、はじめての競馬場でレースをする馬に前もって下見をさせることをいう。馬運車での輸送、競馬場へ着いてからは装鞍所、パドック、馬場への出入り、コースでの足慣らしなど全てを経験させる。
▽スタミナ・インデックス
 種牡馬の産駒の平均勝ち距離(2歳戦、障害戦を除いて計算されたもの)のことで、「平均スタミナ」ともいっている。これによってある程度産駒の距離に対する適応性を知ることができる。しかし、日本に限らず世界の競馬界で競走距離が短くなる傾向にあり、スタミナよりスピードに重点がおかれ、あまり重要視されなくなっている。
▽ステイヤー
 長距離(2400メートル以上)レースで好成績を上げるスタミナ豊富な馬のこと。長距離戦は重賞・特別レースが主で一般レースにはほとんどない。中距離戦に勝った馬が次第に長い距離にも慣れて勝つというのが日本の競馬の仕組みで、本質的なステイヤーが育つシステムにはなっていないようだ。菊花賞や春の天皇賞は正にステイヤー活躍の場だが、ともすると前半緩いペースになり、後半1哩だけの競馬になったりして、本当の意味でのステイヤーだけが勝っているとは言えない。
▽スパイラルコース
 第1、第3コーナーのカーブへの入りが緩やかで、後になるほど急になり、最終的に第2、第4コーナーを鋭角に回るように設計された競馬場で、まるで螺旋の中心に向かって走って行くように徐々にカーブがきつくなることからこう呼ばれている。JRAでは東京、中山、阪神、札幌以外の競馬場で採用されている。
▽スパーピン
 飛節内腫の俗称。飛節の前内側に骨瘤が発生する関節炎で、関節を構成する骨が完全に化骨していない若馬に、強い調教をさせたりすると発症しやすい。また、古馬でも飛節の曲がった馬や歩行時に飛節を捻るような馬には発症することがある。
▽スピード馬
 速いタイムのレースになると強い馬という意味と、ダッシュ力のある先行馬という意味がある。前者の場合は芝の平坦コースなどで力を出すタイプで、ダートの力のいるレースは不向きだし、重馬場も不得手にしている馬が多い。後者はハナを切ると強いが、競り込まれたり後手に回ると弱い一本調子の逃げ馬タイプを指す。
▽ズブい
 馬自身が積極的に走るタイプではなく、騎手が補助動作(手綱をしごいたり、ステッキを入れるなど)を加えないとレースの流れについていけない馬を“ズブい馬”といっている。こういう馬は追われどうしでいてもバテないので上がりのかかるレースで突っ込んできたりする。エンジンのかかりが遅いので短距離戦向きではない。「古馬になってズブさが出てきた」などと言われることもあるが、当初、素軽い動きをしていた馬でも、レース経験を積むに連れてズブくなることはあり、必ずしも悪いことではない。馬がレースを覚えていく段階で「いい意味でのズブさが…」と使われることもある。
▽スプリンター
 ステイヤーの反対で短距離(一般に1400メートル以下)戦に強い馬をいう。長距離戦と違って条件戦でも特別、一般レースを問わず短距離レースは数多く組まれており、スプリンターの活躍の場は多い。以前は短距離レースは軽く見られ一流馬の出ないレースというイメージもあったが、現在はスプリンターズS、高松宮記念などG1レースもあり、スプリンターに対する価値観も変わってきている。
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■せ
▽生産牧場(せいさんぼくじょう)
 競走馬を生産、育成して、その馬を売却することを目的にしている牧場。単に牧場ということの方が多いが、育成だけを行っている「育成牧場」と区別するために生産牧場といっている。繁殖用の牝馬を所有し、種牡馬の選定、交配に始まり、生まれた馬をトレーニングセンターや競馬場の厩舎に入れる時、または育成牧場に送るまでの馴致や育成を行っている。
▽せったる
 凹背のこと。背中の線がたるんでいることで、前後躯のバランスが悪い馬が多い。軽度のものは競走能力に影響ないといわれているが、斤量が重くなると負担が大きくなるとも言われている。
▽攻め馬(せめうま)
 一般に言われている調教のこと。調教といっても他の動物の場合と違って馴らすこと以外に走る能力を引き出すこと、走る能力を出し切れる状態(馬体を仕上げる)に持っていくことなどを含んでいる。その目的のために連日馬場に入って走る練習を繰り返しているが、これを攻め馬または追い運動といっている。出走するための最終段階の調整における攻め馬を「追いきり」といって、通常の攻め馬と区別することが多い。
▽せり
 競売のこと。「市場取引」または「せり取引」といわれるように公開の市場で売買される。生産者が“お台”(希望価格)をつけ購買者がせり上げていく価格の決め方で、他人にもその馬の値段が分かるようになっている。現在は当歳、1歳、2歳、繁殖馬セールなど市場取引も多様化してきている。
▽競る(せる)
 競り合うともいうが2頭以上の馬が並んでお互いに前へ前へと一歩でも先に行こうと争いながら進む状態をいう。逃げ争いという形が一番多く目につくが、好位を取り合って競り合うこともある。レース中に競り合うと余分な力を使うことにもなり、末脚を失くすことも多いようだ。
▽背割れ(せわれ)
 競走馬は馬体を絞りスマートな形に仕上げて行くわけだが、まだ絞りきれないで背中にムダ肉がついている状態をいう。「まだ背割れしているので……」などと仕上がり途上の馬に使われる。
▽先行(せんこう)
 読んで字のごとしで先に行くことだが、競馬で「先行」といえば逃げるということだけを指すのではなく、前から3番手ぐらいまでに行ける(頭数によっても異なるが逃げ馬についていける)ことを指す。決め手の中に“先行差し”という言葉があるが、これは先行力があり逃げ馬をマークして行き、差し脚を発揮したということで、“好位差し”と位置的にはそう変わらなくてもその内容は異なる。先行できる馬を先行力のある馬といい、逃げ馬について行く集団を“先行グループ”という。
▽前日追い(ぜんじつおい)
 競走日の2〜4日前ぐらいに追い切られた馬が、競走日の前日に最終の調整を目的に軽く(場合によっては強めに)追うこと。本紙はこの動きを重視し“直前変り身診断”として掲載。レース検討の一助としている。
▽疝痛(せんつう)
 疝痛とは馬の腹痛のことで、急性胃拡張(過食疝)、急性腸カタル、風気疝(ガス腹)、便秘疝、腸捻転などの総称をいう。馬の腹部臓器は疝痛を起こしやすい構造となっており、馬の内科的疾病として昔から最も代表的なものとされており、しかも発生頻度が高く致死率も高いので恐ろしい病気のひとつである。
▽セン馬(せんば)
 去勢された馬のこと。非常に気性が激しく(悪く)反抗的だったりして成績の上がらない牡馬は、去勢することによって性質が従順になり成績が上がることもある。最近日本でも去勢することは珍しくないが、アメリカでは以前からさかんに行われておりケルソ、ジョンヘンリーなど大活躍した馬も出ている。また、セン馬は皐月賞、ダービー、菊花賞、天皇賞には出走できない。
▽喘鳴症(ぜんめいしょう)
 普通「のどなり」と言われているもので、喉頭口を支配する神経が麻痺し、そのため喉頭口が狭くなり呼吸のたびに「ひゅうひゅう」または「ぜいぜい」といった狭窄音を発する病気である。競走馬は全力疾走の時多量の空気を呼吸するため、この病気があると呼吸困難を起こすこともあり、競走能力に影響することが多い。治療法としては声嚢摘出の手術を行うが、完全に治るのは半分ぐらいだと言われている。
▽旋毛(せんもう)
 馬の「つむじ」のこと。馬の被毛は直立して生えないで、皮膚面に対し傾斜して生えるため、体表面に毛流が出来る。その起始部や終止部が渦巻き状になっており、これを旋毛という。この旋毛は出来る部位によって呼び名も異なり、20種に細分されている。よく耳にするところでは珠目(しゅもく・額、鼻梁など顔)、吭搦(ふえがらみ・頸の下部)、髪中(かみなか・たてがみの生えぎわ)、双門(そうもん・胸前両側上部)、初地(しょち・前膊および管)、沙流上(さるのぼり・脛(すね)および後管)などがある。
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■そ
▽装鞍所(そうあんじょ)
 レースに出る馬は発走の70分前(特定競走は90分前)までに装鞍所に入らなければならない(施行規定84条)ことになっている。装鞍所では馬体重の計量、出走する馬に違いないかどうかを確かめる個体鑑別、健康検査(禁止薬物の影響下にあるかどうかの検査を含む)、蹄鉄の検査などが行われ、発走の45分前にあらかじめ騎手が持って検量された鞍を装着する。そして、ひとつ前のレースの発走時刻になると下見所に曳き出される。装鞍所では水や飼料など一切与えることが出来ない。また、装鞍所には競馬監督官、競馬会の職員、その競馬に関係する調教師、騎手、厩務員以外は開催委員長の許可がなければ出入りできない。
▽装蹄師(そうていし)
 馬の削蹄、装蹄をする人。蹄鉄は一定期間毎に削蹄して打ち替えられるが、競走時には競走用の蹄鉄(アルミニューム製の勝負鉄)を走る前に打つ。「蹄なければ馬なし」と言われているように、蹄は馬体を支える基礎であり、運動上重要な部分である。したがって、削蹄、装蹄は直接・間接馬の能力に大きな影響を及ぼすので、競走馬にとって装蹄師の役割は大きい。
▽総流し(そうながし)
 連勝式の馬券の買い方のひとつで、1頭(枠)の軸馬を決め、他の全ての馬(枠)を相手に選ぶことである。“流し買い”というのも同じ。
▽相馬(そうま)
 馬格(馬の体型、外観)の見方を昔から相馬といっている。これは長い経験が必要とされ、簡単には説明できないが、常識的には全体として均整がとれ、骨量に富み比較的に幅があり、しかも品があり皮膚の薄い感じのものがいい馬と言われている。
▽ソエ
 管骨瘤や管の炎症の俗称。若駒によく見られる症状で、急激な調教や過度の調教、装蹄の悪い場合などによく起きる。厩舎関係者の間ではソエが出て喜ぶこともあるが、それはスピードがあるからこそ骨瘤ができると見ているからである。ソエそのものは固まれば競走能力に支障はなく、焼いて固めることが多い。3歳戦では「ソエが出ていたので…」とか「ソエが固まったので…」などよく使われる言葉だ。
▽ソコソコ
 ある程度は―。という意味の言葉で、「ソコソコの勝負は出来る」とか「このメンバーならソコソコには」などと使われ、勝てないかも知れないが見せ場は作れるし、他の馬にヒケは取らないので好勝負になるだろうということである。
▽外回り(そとまわり)
 競馬場によって内回りと外回りの2つのコースをもっており、中山では向正面。京都、新潟では3〜4角にかけて内外に分かれている。中山の外回りは内回りに比べかなり高くなっており、2角及び3角のカーブが緩くなっている。京都、新潟は内回りに比べて直線の距離が、それぞれ約100メートル、300メートルもちがうので追い込み型の馬に有利なコース形態といえよう。
▽外枠発走(そとわくはっそう)
 発馬癖の悪い馬など馬番に関係なく出走馬の一番外側に入れられ発走していた時代もあった。これを外枠発走というが、現在はゲート入りした後突進して飛び出したり、ゲート内で暴れて危険な場合外側のゲートに入れられ外枠発走となることもある。外枠発走の場合本紙では各馬の成績欄(能力表)に12頭立てでもプラス2の14ゲートと記しており外枠に回されたことが分かるようになっている。
▽ソラを使う
 レースや調教時の走行中における馬の癖で、走ることに対する集中力を欠いてしまうこと。直線でソラを使う馬はよく見かけるが、他馬と並んでいるうちは一生懸命走っていた馬が先頭に出て1頭になった途端に急激にスピードを落とすようなケースである。
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